楽器がうまくなる道は、楽な道ではありません。

 

どんなに上手な演奏者でも壁に当たり、挫折することはあります。得意な技術、才能、体格、だけでは乗り越えられないこともあります。

 

難しいパッセージがある。ここがどうしても何度繰り返してもできない。

どうやったらもっとメロディーらしく弾けるのか。

いい伴奏やリズムを刻むには、どうしたらいいのか。

 

常に迷いと壁と挫折。

少なくとも、私はそうでした。

 

精神的に落ち込むこともある。

本番がうまくいかない。

合奏でもうまくいかない。

個人練習でもうまくいかない。

 

 

誰から何を言われることはない。逆に言ってくれる人のほうがありがたいかもしれません。

何より、自分自身のなかで、様々な葛藤が起こります。

どうしてなのか。原因がわからなければ、解決しようもありません。

 

そんなときは、一切曲や難しい練習から離れて、基本に立ち返るのも手です。

弦楽器ならデタシェ。管楽器ならロングトーン。

 

Youtubeなどで、ヴァイオリン講師や演奏者の動画を見ているとわかるが、ロングトーンが正確で音質にムラがありません。強弱がついても音色にムラがなく、質を保ち続けている。

 

調子を崩したとき、どうもよくないと感じたとき、あまり無理に練習しない。

これも大切です。

できそうな時は、ごく簡単なロングトーンをひたすら続ける。100%のロングトーンを目指す。

音質、長さ、音色、均一さ、妥協なく、完全な音。

頭をからっぽにする。
そして、耳を澄ませる。

よくよく自分の音を確認する。

 

場合によっては、身体を動かすための軽い準備運動などを取り入れる。
弾く、吹く、叩く。そういった身体の挙動を今一度、あらためて感じながら、音を出す。

音を出す喜び、それ自体を楽しむ。音楽を楽しむことも大切ですが、音がある、音を伸ばす。

ただひたすら、修行のようですが、多くの人の手によって引き継がれてきた楽器を、今一度、自分の手足と、息で、鳴らしていく。

 

疲れたと感じたら休憩。そして、またロングトーン。

その次に、音階のロングトーン練習を取り入れてもよいかもしれません。

 

ロングトーンの中にもうまくいった時、いかない時があります。

うまくいかなかったら反省して、次へ。

うまくいったイメージを覚えておく。

 

実際の合奏や演奏発表会、先生のレッスンの時も同じです。意図と意志を持って音出す。
結果は、横に置く。漫然と音を出さない。意図をもつ。

間違えることもある。それは忘れる。間違えた原因を必要以上に探らない。あるいは、全く探らない。

 

うまくいったイメージを持つ。

 

割と、淡々と、粛々と。

頭の中であれこれ言葉が飛び交うことで、集中力を欠くこともあります。

ひたすらに音に没頭している方が、集中力は高まるし、演奏そのものもうまく気がしています。

 

書いてはみましたが、経験談と独り言です。

万人に通じる道があるわけではない。

各個人が、その道を切り開いていくより他ありません。

自己流はいけませんが、しかし、努力しマスターするのは、紛れもない自分自身なのです。

自分の外側に、なにか完璧なメソッドがあるわけではありません。

ただ、よりよくなろうとし、音を出し続けるしかありません。

 

一つずつ、1mmでも、昨日より今日、と重ねていくより他ありません。

 

これは、楽器のみならず様々な道に言えることかもしれませんね。

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