僕のことばではありません。いまは亡き師匠、故松本紀久雄先生のおことばです。

「君はピアノが弾けるのだから」

という前置きのうえで、

「室内楽をたくさん演奏しなさい」

「ヴァルトシュタインソナタの冒頭は、何一つ同じ音はないんだよ。確かに同じ音の連続だけど、これは、いったいどこに向かうのか?この馬か馬車か、他の乗り物か。これは、一体どこに向かうのか?この音楽はどこへ向かうのか?」

「特に歌や管楽器の伴奏は積極的にしなさい」

「オーケストラや管弦楽だけが音楽ではない。ピアノソロ、弦楽四重奏、管楽五重奏、その他様々な楽器の協奏曲、合唱曲、オペラ、ミュージカル、すべて、自分の範囲の物事だと考えて勉強しなさい」

「クラシカルな音楽(20世紀の音楽や調性音楽)だけがオーケストラ音楽ではない。現代音楽も前向きにとりくみなさい」

「好みではない演奏家の演奏も積極的に聴いてみなさい(松本先生は、グリュミオーやオイストラフが好きだったが、ギドンクレーメルは苦手だと仰っていた。それでも、CDを買い、聴いていた)」

「他の楽器のことをよく勉強しなさい」

「いろんな楽器奏者と仲良くなって友達になりなさい」

「ありとあらゆるジャンルの曲を聴きなさい」

「音楽だけではなく、舞台芸術全般、絵画、彫像、美術、文学、小説、詩、すべてに関心を持って、積極的に美術館などへ足を運びなさい。専門バカになってはいけない」

「うまくなくても音程がずれてても、なんでもいいから、クチ三味線を身につけなさい。それでなくては伝わらないものもある」

「棒の振り方は振り付けじゃないからね。内面から出てくるものだから、ほんとは教えようがないんだ」

以下は、先生から薦められた本でもなんでもありませんが、先生の言葉から、こういうことを学ぶ必要がありそうだな、と思った本を勝手に推薦します。

いずれ、美術や他の芸術の本も追記しますね。

音感トレーニングは、ホントは、コールユーブンゲンをチューナー見ながら、あるいはレッスン受けながらやるのがよいです。

松本先生には、ソルフェージュは習っていなかったのですが、空き時間で特別に指揮法と並んで教えて頂きました。

あれがなかったら、今の自分はなかったでしょうね。