ヴァイオリンE線のなかで人気なもの、お値段は比較的高いけど一度は試してみて欲しいものを紹介していきます。
お店に行くと、E線に限らずたくさんの弦が並んでいますよね。迷うでしょうし、わからないことも多いと思います。
正直な話、すべての弦を使ってみたわけではありません。なので、友人、知人、プロアマ含めた諸先輩ヴァイオリン奏者の意見や感想、レビューを参考にさせて頂き、まとめていきます。
この先も、新製品があれば、その都度、更新していきます。参考になればさいわいです。
●絵柄と文字表記に気をつけよう
ヴァイオリンの弦は、メーカーごと絵柄があり、絵柄で同じでも、全く種類が異なる(表記だけ異なる)ものあります。
絵柄も頼りになりますが、絵柄自体が変更もあります。外見だけではなく、外装に書かれた文字、大抵は英語ドイツ語があるので、気をつけてみるようにしましょう。
medium light heavy それぞれのtensionがあります。中にはextra heavy や forte などの記載もありました。
ドイツ語だと英語のmedium がmittel などになります。
わからなければ店員さんに聞くのが確実。ネットで買うのは慣れてからにした方がよいです。すんなり選べるお店もありますが、種類や選択肢が多くて、わかりづらいお店も多いので、実店舗で買うのがよいものもあります。
下記では、比較的定番のものを紹介しています。テンションのミディアムが多く、専門店であれば、どのお店でも在庫があるはずです。
ADGやメーカーの相性・性質を理解しているのは、店員さんだと思います。間違いなく奏者よりも詳しい人が多いです。
全く同じ絵柄でも仕様、メッキなど、細かい部分もありますので、頭の片隅に置いておきましょう。
通常4/4が販売されていますが、3/4など違う分数サイズ向けの商品も同じ絵柄のことがありますので、念のため注意しましょう。
なので、弦が入っている紙包装(ダダリオなどは、プラの外装もある)は、捨てずに、とっておきましょう。弦の印象を少しメモしておくのにも使えます。
工房や楽器店にお任せされている方もいるかもしれません。もしいつも決まったのを使うのだとしても、できれば外装をもらってとっておきましょう。自分がどんな弦を使ってきたのか、あとから変遷を知ることもできます。
今使っているE線は金メッキ(ゴールドブラカットプレミアムのK24 太さ0.26)は、個人的な感想ひっくり返りにくいです。同じメーカーの定番と比べると音色もよく作られていると感じます。
これから紹介するものは、自分も未使用なものもありますが、それらは知人のレビューを参考に、順次レポートとして追記していきたいと思っています。
また細かい特徴・材質などの情報は、ピラストロ社、トマセティーク社などメーカーホームページがあります。
ピラストロ社
https://www.pirastro.com/public_pirastro/pages/en/Stringfinder-00002/
トマセティーク社
https://www.thomastik-infeld.com/en/products/orchestral-strings/violin
※注意 通販のリンク先のサイトによっては、相場より高めの出品もあります。なので、弦楽器専門通販のサイト、たとえば下記のようなお店で相場を調べてみてください。
https://www.soundscape-net.com
もちろん、amazonや楽天でポイントが余っている、ポイント還元を利用して買うのもよいと思います。
張り替えの際の紙包装はもらっておきましょう。万が一、工房がお休みの時に必要になったら、同じ物を他の工房やお店で買うときに、紙包装があれば、同じ弦を買って張り替えることができます。その方が間違えがなく同じ物に張り替えできます。
E線の種類、基本知識
●ボールエンドとループエンド
(ご存じの方は、読み飛ばして下さい)
基本知識ですが、ボールエンド、とは、ADG線と同じ「ボール」の型ですが、「ループ」は、まさに端が輪になっているのみで、ボールがついていません。下記で示す専用アジャスタが必要です。
ボールエンドの中には、ボールを外すと、そのままループエンドとして使える弦もあります。詳しくは、各自調べてみるか、お店で聞いてみて下さい。
ボールエンドの弦は、ADG線のボールエンドと基本構造は同じですが、そのままテールピースにはつけないでください。あくまでE線は、アジャスターを使って張る、調弦する、というのが基本です。
まず最初にこの二種類を間違えないように気をつけてください。実店舗でも、楽器を持参している場合はよいですが、持っていないときは気をつけて購入してください。
紹介した弦でも同じページから選べないこともあるのでご注意下さい。
ヒル型(ループエンドアジャスター)
ウィットナー製(ボールエンド)
E線を選ぶときは、くれぐれも気をつけて下さい。
弦の種類について
太さ
ゴールドブロカットについては、0.26、0.27 0.28など他のサイズもあります。ノギスで計測したら、実は数値と違う、ということも実際にあるようです。
他の弦も細かく、0.267などあります。どこまで計れるんでしょうか(笑)
どうやらヴァイオリン界隈には、「E線0.26神話」があるようです。わたし自身も、工房で替えてもらうと、基本0.26です。わたし自身、0.27、0.28の存在は知りませんでした。
また、0.27、0.28は、悪い、という情報さえWeb上では見かけます。
実際に使って比較してみた人のお話をうかがうと、「0.26神話」である説が有望だと思っています。
E線に不満がある場合には、試しに0.27 0.28も試してみましょう。
メッキ
プラチナメッキ、スズメッキなどの種類の違いもありますので気をつけましょう。
一般的には、メッキがかかったE線は、重音などを弾く際にかすれてしまうこと多いようです。もちろん、メーカーによってメッキ処理の仕方は異なりまし、その人の技量にも関わることなので一概には言えません。
そういうこともあるのだな、と、一般論程度に受け取っておいて頂ければ、と思います。
E線のかすれの原因は物理的追求するのは、簡単ではなさそうですね。
個人的には、松ヤニとの相性もあると感じています。
材質
スチール、クロム銅、カーボンスチール等があります。
巻き線
E線は基本剥き出しの状態ですが、中には違うものがあります。それが、woundとアルファベットで表記されているのは、いわゆる「巻き線」と呼ばれる弦です。詳しく知りたい方は、この本が参考になります。後半の方に、どのメーカーのどの弦が、どういう素材なのかまとめられています。
それ以外の面でも、ヴァイオリンの選び方などもあるので、変な楽器をつかまされないためにも(!?)必読書の一つだと思います。
E線の巻線
ピラストロ社 「No.1」
最近この「No.1(mittel mideum)」という弦を初めて購入、使ってみました。
エヴァピラッツィのゴールドのADG線との相性もよい。
繋がりもよくないのと、ある程度、ダークで温かみもある。エヴァのゴールドのE線と比べると、比較的すっきりとまとまった音色に感じます。
ひっくりかえりも、かなり少なく、重音も弾きやすいです。
フラジオを弾いても違和感や、すっぽ抜けが少なく感じます。
押さえた感じもいいです。圧力が少なめに感じます。指の力が強くない人、アマチュアの方にもお勧めできそうです。
比較的新しい弦だったので、知らなかったのですが、思いも寄らぬ収穫でした。
これからも新しい弦をレポートしていきますが、知らない弦だからといって敬遠するのは、やめようと思わされました。
確かに、他の弦と比較して、やや値段は高いですが、一度は試してみる価値があります。
E線はどうしても寿命が短いので、基本はゴールドブラカットで頻繁に交換していくのがベストな計画です。
しかし、それだけでは自然と飽きてしまいます。同じ音色は、脳すらも飽きてしまうのかもしれません。指の感覚も、あまり一種類の物を使い続けるのは、演奏スタイルのバリエーションを狭める気がします。
弦を変えることで得られることは多いです。答えが決まっていたとしても、その答えをより深める意味でも、違ったものを試してみるのはよいのではないでしょうか。
No.1を使って1時間、同じエヴァやゴールドブロカットの1時間より、疲労度が少ない気もしました。
音色は、決してきらびやかで強い方向性がある弦ではありませんが、そこに個性と魅力を感じられます。
ひかえめであることの強さ、主張からも製品の品質の高さと精度をうかがえます。ピラストロ社の力作のひとつであると感じました。
ダダリオ バイオリン用 バラ弦 Kaplan Non-whistling E線 wound KS311W 4\/4M Medium Tension
ピラストロ社の「ナンバーワン」と同じく、巻き線です。
題名にもあるように、E線のホイッスリング、いわゆる音のひっくり返りがほぼゼロに近い弦です。
やや太めの音が出ますが、E線特有のホイッスリングがないので、安心して、開放弦のE線も弾けます。
音域全体にわたって、いわゆるE線の輝かしさより、やや太く主張の強い音色に感じられました。
バッハの無伴奏や、解放のE線を多く弾く方には特にオススメです。
個人的な感想ですが、No.1よりもこちらの方が好みではあります。一度は両方試してみる価値があると思います。品質的にも拮抗しています。そして、裏返りは両方とも全くありません。
ゴールドブロカット(ゴールドブラカット)
言わずと知れた有名メーカーの一つです。この種類は太さだけでも4種類あります。0.26が比較的よく使われているようです。これを標準サイズと考えて、0.25とやや細め、0.27、0.28と太めに二種類の4種類がamazonなどでも販売されています。
いままではずっと0.26を使っていましたが、0.27や0.28もけっして悪くありません。
ただ、初心者の人には少し演奏しづらいかもしれませんが、あえて太い弦を使うのもありかもしれません。丁寧に弾ける技術を身につけるきっかけになるかもしれません。
初級の方は、とかく圧力が小さくなりがち。音量を出すためには、弓圧、とスピードが必要です。0.26よりも太い弦を敢えて試してみるのもよいかもしれません。
楽器店での展示楽器は、ほとんどこのE線をつけています。ドミナントADG線とゴールドブラカットE線が一般的です。
その意味でも、価格が抑えられているので、コストパフォーマンスを考えると非常に人気が高い弦の一つです。
ゴールドブロカット6本セット
使用頻度が高い方は、数本持っておくのがよい気がします。
同じく、ゴールドブロカットの上位シリーズです。
プロに人気が高いようです。
無印と比べると3倍くらいの値段がしますが、いい音色でよく作られている印象を受けました。
無印しか使ったことがない、というかたは、是非、いつか一度は機会があれば、本番前などに使ってみて欲しいです。
0.27は、0.26よりも強く太い音色です。コンテストやコンクールなどでも使われるようです。
最近初めて使ってみましたが、このゴールドブラカットプレミアムのK24シリーズは良さそうに思います。
まず音の、E線で裏返り(ひっくり返り、ホイッスリング)が、比較的少ないと感じます。0.26の一般的なゴールドブラカットよりもずいぶん少ないのではないかと、実感しています。
ゴールドブラカットや他の弦でのひっくり返りに不満を感じたら、是非、これを試してみて下さい。
音色もすばらしいです。キンキンとした音色より、少し抑制がきいていて、よく作られていると感じました。個人的にも好みの音色です。
0.26、0.27を比較して、押さえた強さと、音量が違うように思えました。0.27のほうがよりソリスティックで大きな音、演奏に適した音色を備えているように感じます。
ですが、室内合奏やオーケストラなどで浮くほどか?と問われれば、恐らくそれほどではないと答えます。金の柔らかな部分でカバーされているような感じがしました。
Peterinferd(E線 プラチナメッキ)
やや値段が高い弦になります。私自身はメインはペーターインフェルドのADG線を使っていますが、E線だけは試したことがありませんでした。
聞いた話では、一度は使ってみてもよい、評判のよい弦のようです。
使ってみたら、また詳しくレポートさせていただきます。
スペシャルプログラム(THOMASTIK)
表現し難いのですが、なんともいえない魅力のあるE線です。輝かしくもあり、しっかりとしたまとまった音。
金メッキだと思いますが、そこまでひっくり返りなども多くはありません。
たまには高いE線を使ってみたい人には選択肢の一つだと思います。
パシオーネ(passione)
ボールエンド
この弦も、魅力的な音色です。明るすぎず、しっかりと響いてくれます。
ループエンド
太さがいくつかありますが、個人的には0.267がオススメです。
しっかりした音色、伸びやかな表現が可能な弦に感じました。
ゴールドブラカットプレミアムのK24もよい弦だと思いますが、より艶っぽさがあるように思います。
キラキラ感は前者の方がします。それよりはやや落ち着いていますが強い音色に思えます。
ヒル【Hill】-Hidersine-
とても輝かしい音色です。E線らしさが現れる音色です。
ちなみに、ヒルはノーマルと太い方を試してみました。太い方は、よほど力に自信がないとお勧めできません。。。
僕も抑えきれませんでした・・・そして、指も痛くなります(笑)なのでオススメしません。
ただ、しっかりと押さえられる人であれば、太くて良い音が鳴ります。
是非、一度は使ってみてください。
ワンダートーン E線
少しあたたかめな音色に感じるE線です。ADG線とのつながりもよい弦に感じます。
特に、発音がよく、あまりスピードを使わずに、変に圧力をかけずによい音が鳴ってくれるのが特徴的に感じられました。ADG線もワンダートーンは好きな弦の一つです。少し、お値段ははりますが、4弦セットで替えるのも良いかもしれませんね。
セット品(ワンダートーン 4弦フルセット)
中間まとめ
色々迷ったら、とにかくゴールドブラカットの0.26 0.27で様子をみるのは手です。
その音色と楽器の状態である程度耳を慣らしたら、ゴールドブラカットプレミアムGOLD24Kや、No.1、ワンダートーン など試してみましょう。E線だけでもずいぶん違った音量や音色に驚くと思います。
以下は、随時更新予定。
エヴァ ピラッツィ ゴールド E線
これは、ADG線と合わせて、ほんとに好みにドンピシャりな弦です
一度はセットで試してみてください!
エヴァピラッツィゴールド(E線ボールエンド)
エヴァピラッツィゴールド(E線ループエンド)
金額は張りますが、一度は使ってみる価値があると思います。ぜひお試しください。
ドミナント(carbon steel tin plate)ボールエンド
ドミナント(carbon steel tin plate)ループエンド
ドミナントのADG線は、クラシックでは有名です。そのE線になります。
使ったことがあるのはずいぶん昔ですが、音色の印象は、ドミナントと一貫してた気がします。
ただ、ゴールドブロカットと比べて、少々コストパフォーマンスで劣る印象です。
個人的には、この弦を試すなら、下で書かせて頂くVISIONのほうがオススメです。
Vision
価格もお手頃で、オススメの弦の一つです。
華やかで輝かしいイメージの音色、というよりは比較的、ダークで暖かい印象の音色に感じました。
オブリガートのADG弦とセットにしたときは、比較的音のつながりもよく、ドイツ音楽向けと感じました。
バッハの無伴奏などを弾く時、E線オープンの重音でひっくり返る回数がずいぶん減りました。好感触です。
Visionは、E線も良いですし、ADG線も良いのでセットで購入されることもお勧めします。
バッハの無伴奏楽譜の参考
バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ ~初めて弾く人のために
初心者中級者向け楽譜はこちら(バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ ~初めて弾く人のために~)
細かく指番号や弓順が記載されてます。
中級以降の方は、ペータース版もお勧めです。
ペータース版
インターナショナル版(ガラミアン版)
ファクシミリがついていて、勉強になると評判です。
ベーレンライター版
まさしく上級者向けで、弓順や指番号がほとんどありません。
この記事を書いているのは、2022年6月現在ですが、今後高くなると見込まれるので早めに購入されることをお勧めします。輸入弦も同じですね。少し予備の弦を持っておきましょう。
以下の弦については、今後、感想を更新していきたいと思います。
いずれも、他の人からのオススメや評判が良さそうなもの、Web記事などで好印象な物を載せてみました。
オリーヴ(olive)
オブリガート(obligato)
カプラン ゴールデンスパイラル(Golden Spiral Solo)
Warchal Amber ワーシャル アンバー メタル ステンレススチール・ボールエンド
ADG線について
ADG線についてのお勧め記事も書きました。こちらもご参照ください。
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