ミスへの不安

楽器が少し上達してくると、こんな悩みを抱えることになります。

本番をミスをするのが怖い・・・

練習をするときからミスをしてしまう・・・

ミスをすると他の人の目が気になって練習に
集中できない・・・

ミスしたら怒られるかもしれないと考えると
余計にプレッシャー・・・

緊張して、息があがってしまう・・・

こんな風に感じ、考える人はおられると思います。

結論「ミスしても、気にし過ぎないと決めて練習する」しか解決策はありません。そのための努力をするしかありません。意図的に、意識的に、ミスを見過ごす(ダジャレじゃありませんよ・・・)。

たとえば、演奏中、練習中につっかえる、苦手なフレーズがあるとつい何度も練習したり、できなかったりします。あげくのはて、結局疲れて、いやになって最後まで通すことができなかったりします。

曲のはじめの方は弾ける。でも、最後の方は完成度が低い。よくあることです。

こういった問題をどうしたら解決できるでしょうか?ヒントとしての解決策として、わたし自身の、あるいは私が習ってきた先生たちによる練習方法を紹介します。

ミスを減らすための練習方法

いくつか解決するためのみちのりを示してみます。

1.基礎練をする(ロングトーンと音階)

一言で言うには難しいのですが、簡単にその日の耳の調子や身体の調子を整えるため、あるいは、どのくらい調子がよいのか悪いのかをキチンと把握するためにも、基礎練習は重要です。

最低でも10分くらいは、ルーティーンとして予め決めておいて、それをさらいましょう。できれば、先生と相談しながら決めましょう。

どこにでもある音階練習を四分音符80くらいのテンポでできたら、メトロノームを使ってすると、より効果的です。

ミスをする調性が決まっている人もいます。特にフラット、シャープの多くなってくると、その分、脳みそに意識がとられる、集中力が取られる、結果間違えます。

暗譜してしまえ、といいたくなりますが、僕自身もできません(笑)

なので、その調性、変ニ長調、変ホ短調、ホ長調、ロ長調、など、♯♭が5以上の音階とアルペジオを基礎練に取り入れましょう。

これだけで、演奏能力が倍増します。もちろん、音程や指使い、場合によっては変え指も検討しましょう。だいたいの楽器は、このあたりの調性を基礎としていないので、難しいことが多いです。

2.曲全体を眺める

まず、最初にすることは、よく楽譜をみることです。調性はなにか、拍子がなにか、途中で調号が変わらないか、転調しないか、臨時記号はどの程度ついているのか、などなど。

初見が得意な人やプロのようなトレーニングをされてきた方には、必要のないことかもしれません。特別な人を除いては、その楽譜全体がどんなことが書かれているのか、おおまかにでも知っておくと練習を効率化できます。

普通の本における読書、目次をみるのと似ています。ざっと全体の目次を眺めるだけでも、効率化できます。楽譜、読譜も同じです。

3.曲や楽章の最後のページから練習し始める

ふつうは曲の出だしからさらいますね。たまにパターンを変えてみましょう。敢えて、最終ページからさらいます。それによって、体力や集中力を保った状態で、最終ページの練習をすることができます。

必ずしも頭からさらう必要はありません。

4.休憩は必ずとる

楽器を弾くことは、脳をフル回転させて、身体もフル稼働します。積極的に休憩を取りましょう。特に、始めたばかりの楽器では、集中力が空回りしやすいです。

集中力が欠いた状態で練習しても全く上達しません。逆に集中力で研ぎ澄まされた練習は、上達をおおいに促進します。

これは、わたし自身の体験もありますが、その通りだと思います。

5.セクションごとにわけて練習する

たとえば、ソナタ形式であれば、提示部、展開部、再現部、コーダなどに分かれます。まず、第一提示部を練習しましょう。

分けて練習するときですが、できれば、2,3ブロックは練習しましょう。必ずしも連続したブロックである必要はないです。1,3,5番目や、2,4番目のブロックなどの組み合わせで練習しましょう。

6.ミスをしても止まらず続ける

ミスをすると、どうしても止めて練習したくなりますが、まず全て通すと決めて練習しましょう。その上で、どうしても練習しなければならない箇所をチェック。

繰り返し練習していきましょう。ただし、そこも、ちぇっくした全体を練習することです。

受験の過去問と同じで、回さないといけません。数学のこの問題が不得意だ、という場合に、その問題だけの勉強をしていては合格できません。全科目の全体を底上げしなくてはいけません。

7.ミスする部分を一気に完全な形には仕上げない

そのためには、通してチェックし、繰り返し、しかし、完全にミスをしない形までは練習しません。なぜなら、次の日には必ずまたミスをするからです。

是非試してみて下さい。100%絶対これで大丈夫!と思った次の日。100%できるかどうか。まずできません。人間の学習心理学などの研究からも、学習し身につくまでには、時間が必要です。

いわゆる寝かせる時間です。

神経が通ってくるまで、ある程度の回数をこなす必要と、どうしても時間が必要です。一カ所ずつ潰していく、という考えは、やめた方がいいです。これは、学習理論上も、経験上も効率的ではありません。

数カ所あるなら、数カ所を40%くらいまでもっていく。次の日に、50%、次の日に55%。達成度は上がれば上がるほど、上がりにくくなります。

ゆっくり時間をかけて全体をよい形にするために取り組んでいきましょう。

まとめ

ミスはあり得ます。本番でもあります。プロでもミスをします。だから、私たちがミスをするなんてことは、日常茶飯事です。

大事なのは、ミスが起こったときに、どう感じるか。ポジティブに捉えて、流すしかありません。あまりその箇所ばかりを繰り返し練習することも、果たして効果的な練習につながるかどうか、慎重に考えて下さい。

同じ間違いを繰り返していると、間違いを指や身体が覚えてしまう可能性は大いにあります。

もっと詳しく知りたい方は、この本を読んで下さい(もしかしたら上記の主張とは違うかもしれませんが、自分にとってよい方を取り入れて下さい)。

以前も紹介しましたが、少し加筆しましたのでよろしければご覧下さい。